事例 120様々な事情がある相続人の手続き

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Aさん

夫の相続手続をしたいのですが、子供たちに色々な事情があり、悩んでいます。

相続人に様々なご事情がある場合も、しっかりとサポートいたします。

「様々な事情がある相続人ばかりで、夫の相続手続が難航しそうで悩んでいます。」


Aさんから、ご主人Xさんの相続でご相談をいただきました。
相続人は配偶者のAさんと長男、長女、次女の3人の子です。
しかし、相続人であるお子様たちに様々な事情があるとのことでした。
そのため、相続手続をどのように進めたらいいか、また相続税はどのくらいの負担となるのか、
そういった点で、悩んでおられました。

まず、それぞれの事情をお聞きすることに。
長男Bさんはアメリカに居住しており、しばらく日本に帰って来られないという事情。
長女Cさんは、結婚後に病に倒れ、障害をお持ちで寝たきりの状態という事情。
唯一、次女Dさんが、Xさんの近くで暮らし高齢のAさんを支えているとのこと。
相続財産は預金のみですが、相続税の基礎控除額を超えるため、申告が必要でした。

一般的に、遺言書がない場合には「遺産分割協議書」を作成し、各相続人が実印を押印します。
ところが、今回、相続人である長男と長女にそれぞれの事情があったため、
この部分について自分達で上手くできるのか、というお悩みの様子でした。

①長男への対応

そもそも、相続人が海外に居住されている場合、実印及び印鑑証明書が用意できません。
その場合は、現地の日本領事館での「署名(及び拇印)証明」で代用することができます。
領事の面前で、遺産分割協議書に本人が署名したことを証明してもらうのです。
アメリカにお住いのBさんへ、Dさんから連絡をしていただき、
遺産分割協議書をアメリカに郵送して、無事に署名証明を受けていただきました。

②長女への対応

一方、障害をお持ちのCさんについては、寝たきりとはいえ、意思疎通は可能とのこと。
さらに、電話でお話もできるようでしたので、Dさん経由でCさんのご主人にご協力を依頼。
無事、遺産分割協議書への署名押印や印鑑証明書をご準備いただくことができました。
なお、相続人が障害をお持ちで、今回のケースのような意思疎通が不可能な場合は、
後見制度を利用しなければならない場合もあります。

かくして、遺産分割の内容は、Aさんが2分の1、子三人は残る2分の1を3等分するというものになりました。
第一に、配偶者のAさんは配偶者控除の適用により相続税の負担はありません。
そのかわり、子3人は負担を負います。
しかし、Cさんは障害者であるということで、障害者控除の適用を受け、税の負担を免れました。
さらに、Cさんが受ける障害者控除の額が、Cさんが負担する予定の相続税額よりも多い為、
その超えた部分は兄弟姉妹であるBさんやDさんの相続税額から差し引かれることに。
結果的に、Bさん、Dさんがその恩恵を受けることとなりました。
協力をしていただいたおかげでスムーズに相続手続きが進行し、
また、結果的に誰も相続税を負担することなく完了し、
様々な事情がある相続人ばかりのお手続きが無事に済み、Aさんの悩みも無事解消されました。

◆参考◆相続税の障害者控除

具体的な控除額の例・・・

通常、相続税の障害者控除は、相続税の申告に際し、
相続人が85歳未満の障害者のときは、相続税の額から一定の金額が差し引かれます。
その額は、その障害者が満85歳になるまでの年数1年(1年未満は切り上げ)につき10万円で計算した額
(特別障害者の場合は1年につき20万円)です。
例えば、相続開始時点で52歳4か月の場合、85歳-52歳4か月=32歳8か月、
10万円×33年(端数切上)=330万円が相続税額から差し引かれることとなります。

他の相続人も軽減される可能性・・・

この障害者控除額が、その障害者本人の相続税額よりも大きい為、控除額の全額が引ききれない場合は、
その引ききれない金額を、その障害者の扶養義務者(配偶者、直系血族、兄弟姉妹のほか、
3親等内の親族の内一定の者)の相続税額から差し引くことになります。
つまり、障害者でない方も、税の負担が軽減される場合があるということです。
なお、障害者控除は、相続や遺贈で財産を取得することが要件の一つになっていますので、
障害者控除の適用を受けるには、その障害者は少額でも財産を取得しておく必要があります。

※アドバイス※
上記のケースでは他の相続人にも負担軽減の恩恵がありましたが、あくまでもケースバイケースとなります。
様々な事情がある場合、まずはお気軽に当センターへご相談ください。

  

国税庁のイラスト(様々な事情がある相続手続・障害者控除の関連)

事例 119土地の権利関係が複雑な相続

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Aさん

父の相続で、土地や不動産について複雑そうで困っています。

複雑な土地の権利関係は、名義や契約状況をしっかり確認しましょう

「土地の権利関係(借地・貸宅地)が複雑そうな父の相続について、ご相談したいです。」

Aさんが、お父様Xさんの相続手続についてお困りとのことでした。
相続人は長男Aさん、長女Bさん、お母様のYさんの3人です。
そして、相続財産は不動産と預貯金で、相続税の申告が必要とわかりました。
なお、不動産はご自宅の土地・建物の他に、Bさんが住んでいる家の敷地があり、
この土地の権利関係の複雑さについて、Aさんはどうしたらいいかと悩まれていました。

相続税の計算に当たり、他人の土地を借りて家を所有している場合は「借地権」として評価します。
さらに、「借地権」の評価は「自用地」の評価に、地域ごとに定められている「借地権割合」を乗じて算出します。
したがって、逆に土地を他人に貸して他人が家を建てている場合は「貸宅地」としての評価となり、
「自用地」の評価から「借地権」の評価を控除して求めます。

①自宅不動産

まず、不動産財産の内容を確認することになりました。
ご自宅の建物はXさん名義で、Xさん名義の土地(自用地)と他人名義の土地(借地)の上に建っています。
もちろん、地主とは賃貸借契約を結んでいます。
さらに、ご自宅にはXさんYさん夫婦のほか、長男Aさん夫婦も同居しています。

②Bさん自宅の敷地

一方、Bさんが住んでいるXさん名義の土地は少し離れたところにあり、
その土地の上に、Bさんの夫Cさんが家を建ています。
また、CさんとXさんの間には土地の賃貸借契約書が結ばれ、地代も支払われています。
よって、子(娘婿)相手でも契約を結び、地代が発生していることで「貸宅地」として評価されます。

遺産分割協議の結果、配偶者であるYさんはご高齢のため、
何も相続しないことになりました。
そして、預金はAさんとBさんが等分に、不動産についても
それぞれが受け継いでいくことでまとまりました。
つまり、自宅の土地と借地権・建物はAさんが、Bさんがお住まいの土地はBさんが
取得する、という内容です。
結果的に、Aさんが取得した土地は自用地と借地権としての評価になり、
Bさんが取得した土地は貸宅地としての評価になります。
相続により権利関係も整理でき、またAさんが想定していたよりも相続税が抑えられ、
Aさんは相続手続の結果に満足されていました。

◆参考◆ 自用地と貸宅地の評価

Aさんの場合・・・

相続税申告の際、土地については自用地と借地権としての評価となり、
借地権部分は自用地(所有権)より低く評価されます。
「借地権」の価額は、
「自用地」(他人に貸さず自分で使用している場合の宅地:更地)としての価額に
借地権割合(国税庁により地域ごとに定められた90%~30%)を乗じて求めます。
自分の土地でなくても、所有権並みの財産として評価される場合があるので
注意が必要です。

Bさんの場合・・・

ご自身が住んでいる土地の所有権を取得するにもかかわらず、
「貸宅地」として、自用地より低く評価されます。
相続した土地に他人が利用できる権利を有している場合、
つまり、他人の建物所有の為に土地を貸している場合は「貸宅地」として、
自用地としての価額に「1から借地権割合を引いた割合」を乗じます。
(例)
借地権割合が70%なら、借地権は自用地価額×0.7、
貸宅地は自用地価額×0.3となります。
  
  
  

複雑な土地の権利関係を表すイラスト
※アドバイス※

なお、相続や売買の結果、借地契約の当事者が親子間や夫婦間となり、時代のやり取りを問わなくなる場合は、
借地権の贈与があったものとして取り扱われるので注意が必要です。
 

  

  

借地権の意義 ・ 借地権の評価 ・ 貸宅地の評価

東京都 Uさん

担当相談員の方には、大変お世話になりました。
母の預金相続をお願いしましたが、すでに弟も亡くなっており、
弟の預金、保険の相続までお願いすることになりました。
相続に関する法律等はわからず、担当相談員の方から
細かいところまで丁寧に教えていただきました。
無事に、姉との遺産分割協議が出来て、感謝しております。
この先、相続関係などでまたお願いすることがあれば、
ぜひ、今回お世話になった担当相談員の方に、と思っております。

事例 114終活のための遺言書作成協議

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Aさん

終活で遺言書を作成しようと思います。何から始めればいいですか?

終活をはじめるタイミングは人それぞれ。まずはご相談ください。

「そろそろ終活を始めようと考えているんです。」

久しぶりにご連絡をくださったAさん。
数年前に、奥様の相続手続をお手伝いさせていただいた方です。
当時、お仕事がいそがしく、家のことは全て奥様に任せきりだったAさん。
定年退職をされた翌年、奥様は急な病で倒れ、わずか2週間の闘病の末に旅立たれてしまったのです。
突然に一家の司令塔を失い、大いに困ったAさんが
当センターにいらっしゃり、お手続きのサポートをしたのでした。
奥様の遺産はご実家から相続した不動産の他、預貯金、株式や投資信託等多岐にわたりました。
そのため、全ての手続きを終えるのに半年近くを要し、
そうした経験からか、Aさんは自らの終活に際し、自分の相続準備を手伝ってほしいと思ったそうです。

まずは現状を把握して、できることから始めましょう

そもそも終活とは、自分の人生の終わりについて考えて準備する活動のことです。
遺された家族の負担を軽減するための活動である前に、
自分の残りの人生を充実させるために行う前向きな活動でもあります。
そのため、何から始めるべきという順番はありません。
まずは、自分が気にかけていること、できそうなことから始めてみましょう。

終活における遺言書作成

Aさんは、相続が突然起きたときの残された家族の苦労を身に染みて経験しています。
そして、遺言書があることは、手続きがスムーズに進められる大きな利点です。
また、奥様の財産のお手続きに時間を要したこともあり、まずは財産を整理することにしました。
財産一覧の作成、相続財産の把握、おおよその納税額を試算・・・
その上で、家族にどう相続させるのがいいのかを検討されました。

「自分が亡き後、子どもたちが遺産相続で揉めて欲しくない」
それが、Aさんの切なる想いでした。
そこで、長男長女を実家に招集し、テーブルに財産一覧と試算表を広げ、
 「遺言書作成のための会議」をすることにしたのです。
議長はもちろんAさんです。まずは自身の思いを子供達に伝え、
次に、それぞれの言い分を聞き、時間をかけて、
全員が納得するように取り纏められたのです。
そして、その協議通りの遺言書を作成されました。
「せっかく遺言書を作っても、内容が相続人同士で納得ができるものでなかったら、しこりは残ると思う。
自分は全員の思いを酌んだ遺言書を作りたかった。今後も議長健在の限り、状況が変わればまた『協議』します」
さながら、それは「主役(被相続人)ありの遺産分割協議」のようでした。

◆参考◆

●遺言書作成時の注意

相続(争族)対策として有効といわれる「遺言」ですが、
「遺言書があれば万全」とも言い切れません。
むしろ、独り善がりの遺言ではトラブルの原因になりかねませんし、
内容によっては、遺志通りに実現されない恐れもあります。
今回のケースのように、作成のための会議を行えずとも、
可能であれば、財産を受ける方や遺言執行者として指定した方に、
事前に説明し了承を得ておくことが望まれます。

●自筆証書遺言保管制度

自筆証書遺言とは、自筆で書く遺言書のことです。
これまでは、手軽に作成できる反面、自宅で保管するため、
紛失したり、隠匿・破棄・改ざん等されたりする恐れがありましたが、
2020年7月からは、これを法務局で保管してくれる制度が始まります。
この新しい制度により、様々な懸念事項を未然に防ぐことが可能となりますが
あくまで保管が目的で、内容についての精査はされません。
そのため、遺言書を実現可能で不備のないものを作成するには
専門家のアドバイスに基づいた公正証書遺言(公証役場で作成する遺言書)を
検討されることが望ましいでしょう。

◆自筆証書遺言保管制度に関しては、法務省の専用ページをご参照ください◆

お困りの際は、いつでも当センターにご相談ください。
遺言作成など、生前対策のご相談も承ります。


終活は自分の人生を振り返り、これからの人生をより豊かにするための活動です。その後、遺言作成をお考えの際には、当センターで発売中の『遺言のススメ』をガイドとしてご活用ください。

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事例 113所在不明の相続人を探すには?

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Aさん

所在不明の相続人がいるので、妻の相続手続きがちゃんとできるか心配です。

相続人の確定作業で、現住所を調べることから始めます。

「所在不明の相続人がいます。どうしたらいいでしょうか?」
Aさんから、奥様のご相続についてのご相談でした。
奥様のXさんとAさんご夫婦にお子様はいません。
Xさんの兄弟姉妹はBさん、Cさん、Dさんの3人。
その内、既に亡くなっているDさんにはEさんという子どもがいるそうで、
亡くなったXさんにとっては姪にあたります。
こうして、相続人はAさん、Xさんのご兄弟のBさんCさんと姪Eさんと判明しました。

Xさんは遺言書を遺されていませんでした。
そのため、共有だったご自宅のマンションをAさん名義に変更するには、
相続人全員による遺産分割協議を行う必要がありました。
しかし、Eさんの所在が分からないというのです。

所在不明の相続人について戸籍の附票を取得

「Eさんは結婚しているはずです」と、BさんやCさんが仰いました。
ところが、ご主人の実家でご両親と同居していたある日、家を飛び出してしまったというのです。
そして、離婚もせず消息がわからなくなって10年近くなるとのこと。
まずは、戸籍の附票を取り寄せました。大概はこれで現住所が判明します。
しかし、家を飛び出したきり消息不明、ということでしたので、
結局のところ、住所はご主人の実家のまま、Eさんの所在は何もわからずじまいでした。

どうしても所在が突き止められない場合は

では、調査しても所在不明であった場合はどうすればいいのでしょうか。
一般的には、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てることにより、相続手続を進めることができます。
そこで、他に策がないAさんも、裁判所に申し立てを行うこととなりました。
しばらくすると、家庭裁判所からAさんに「Eさんの所在が分かった」と連絡が来ました。
どうやら、裁判所でも所在不明な方の調査をするようです。
その際には、運転免許の更新や社会保険等の記録が用いられるため、戸籍の附票よりも多くの情報が得られるようでした。
Aさんは、ようやくEさんとお会いすることができました。

Eさんは、家を飛び出したことを反省していました。
しかし、今後もご主人達に所在を知られたくないご様子でした。
ただ、Xさんの相続には協力してくれるということでした。
実際にお会いしたEさんが、精神的にも経済的にも大変苦労していると感じたAさん。
マンションの持分をすべてAさん名義にする遺産分割協議に協力してもらう代わりに、
代償金として持分に相当する金銭をお渡しすることにしました。
そうして、遺産分割協議が成立し、無事に手続きが完了しました。

奥さんの相続手続で、所在不明の相続人(姪)がいたとして、困っている相続人Aさん。

◆参考◆

●戸籍の「附票」で所在不明かを確認

 所在不明の相続人がいる場合、まず取得すべきなのは戸籍「附票」です。
 相続の手続に際し遺言書がなく、複数の相続人がいるときは、
 相続人全員による遺産分割協議が必要となります。
 万が一、行方がわからない相続人がいる場合でも、
 戸籍を取得する際に「附票」を取得することで住所を把握できます。
 戸籍の附票とは、本籍地の市町村が管理する、住民票記載の住所地の移転の履歴の記録です。
 附票は戸籍と一体化しており、戸籍の移転が行われていなければ、
 一つの戸籍の附票に全ての住所履歴が記録されます。
 しかし、何らかの事情により住民票の移転を行っていない場合は、
 それ以上の情報が分からず、所在不明の相続人として連絡を取ることができません。

●不在者財産管理人の選任

 しかし、その場合でも、不在者の従来の住所地を管轄する家庭裁判所に、
 不在者財産管理人の選任を申し立てることで、相続手続きを進めることは可能です。
 申立てには不在の事実を証する資料の添付が求められます。
 裁判所により選任された不在者財産管理人は、不在者の財産を管理・保存する権限しか有していないので、
 家庭裁判所に権限外行為の許可を得た上で、管理人が不在者に代わって遺産分割協議を行うことになります。
 この許可を得る際は、一般に、遺産分割協議書の案を添付して申し立てが行われます。
 不在者財産管理人の職務は、不在者が現れたとき、不在者について失踪宣告がされたとき、
 不在者が死亡したことが確認されたとき、不在者の財産がなくなったとき等まで続きます。
 遺産分割協議が終わったら終了、ではありません。
 不在者が現れたときには不在者であった者に、
 不在者について失踪宣告がされたり不在者が死亡していることが判明したときは不在者の相続人に、
 それぞれ財産が引き継がれます。

【不在者財産管理人についてはこちらもご参照ください:裁判所>不在者財産管理人選任ページ

お困りの際は、いつでも当センターにご相談ください。

事例 111先々の相続税を考えておきたい。

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Aさん

先々の相続税が膨れ上がるのではないかと心配で、妻の遺言への対応に困っています。

相続税をポイントに相続を考える場合、どのようにすればいいでしょうか?

「先々の相続税も考えて相談したいのですが。」
夫のAさんから、奥様Xさんの相続手続のご依頼がありました。
おふたりの間にはお子様がお二人いらっしゃいます。長男Bさん、長女Cさんです。
ご自宅はAさん名義ですが、Xさんはご自分の両親から相続した不動産や、多額の金融資産をお持ちでした。
またAさんもご自宅以外にアパートや貸家などの資産をお持ちです。
Xさんは公正証書で遺言書を作成されていました。
内容は、財産はすべてAさんに相続させるというもので、遺言執行者にAさんが指定されています。

子供たちの視点で考えた相続税

先々の相続税を念頭に手続を進めたい、となったきっかけはBさんからの意見でした。
というのも、Xさんの財産をすべてAさんが相続すると、
Aさんが亡くなった際の相続税が膨大なものになるというのです。
これにはAさんもCさんも賛同しました。
そこで、税理士を交えて、先々の相続税や負担も考えながら、
遺言は執行せず、相続人3人で改めて遺産分割協議を行うこととなりました。

遺言は絶対ではありません

たとえ、公正証書遺言がのこされていたとしても、
必ず従わなければならない、ということではありません。
つまり、相続人全員が納得した形で遺産分割協議がまとまれば、
その内容で遺産分割をおこなうことができるのです。

協議の結果、不動産はすべて子のBさん及びCさんが相続し、
Aさんは金融資産のみを相続するということになりました。
さらに、Aさんから申し出がありました。
相続手続と同時に、Aさん名義の不動産を生前贈与したいという内容でした。
それは、先々を見据え、アパートや貸家についてを、
前もって子供に渡しておきたいという想いでした。

そこで、相続時精算課税制度の適用を提案しました。
生前贈与の場合、相続税よりも税率の高い贈与税が課されますが、
この制度を使って贈与すると、贈与財産が2500万円までは無税で贈与できます。
そして、相続の時に相続財産とを合計して相続税額を計算することになり、
相続の際と同じ負担水準で生前贈与できます。
相続税の節税になるわけではありません。
しかし、貸家等の家賃収入をお子様に先に渡しておくことで、
財産の蓄積を回避でき、更に先々で賃貸人として義務も負わなくて済みます。
ご夫婦で複数お持ちであった自宅以外の不動産をすべてお子様に移すことができ、
相続手続と共にご自身の相続対策ができたとして、Aさんは一安心されていました。

先々の相続税が重くなることを懸念して父親に提案する子供達

◆参考◆

相続時精算課税制度とは

●贈与税にかかわる制度

財産を贈与した場合おいて選択できる贈与税の制度です。
この制度を選択する場合は、2500万円までは特別控除として贈与税がかからず、
上回る場合も贈与税は一律20%で済み、まとまった財産を生前に贈与しやすくなります。

●相続税の直接の軽減とはならない

注意点としては、直接、相続税の軽減にはならないということです。
それは、相続時に贈与財産と相続財産を合計して相続税額を計算し、
支払った贈与税が差し引かれることになるという理由からです。
また、相続であれば適用可能であった小規模宅地の特例も使えません。
しかし、賃貸不動産などを贈与しておくと、
そこから得られる賃貸収入を次世代に早期に移転することができるようになります。
そのため、相続財産の蓄積を防止し、また、子や孫に収入が移転することで
納税資金を準備することにもつながります。
あわせて、下記の点については留意が必要です。
 ・この制度を一度選択した贈与者からの贈与については、
  今後110万円の基礎控除が適用できなくなること
 ・不動産の贈与は、所有権移転登記にかかる登録免許税が
  相続での登記に比べ5倍と負担が大きくなり、
  相続の際には非課税である不動産取得税が課税されることになること

お困りの際は、いつでも当センターにご相談ください。

事例 110きょうだい間の法定相続分

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Aさん

助け合って生活していた姉の相続で、法定相続分しか受け取れませんでした。

法定相続分以外に相続する場合、きょうだいの合意が必要です。

ご高齢の姉Xさんと妹Aさんは、ご結婚されることなく、お二人で一緒に暮らしていました。
もともとお母様を介護しながら一緒に暮らしていたお二人。
お母様が亡くなられた後は、二人でそのまま暮らしていたそうです。
年金だけでは生活できない為、姉Xさんが外で働くことで生計を立てていました。
代わりに、妹Aさんは家事を担当していたといいます。
そんな中、Xさんが交通事故で亡くなったと、途方にくれるAさんからご相談をいただきました。
「他の兄弟と法定相続分で分けるのは納得できません。」
Aさんはそう思っておいででした。

他の兄弟の主張

Xさんのご相続人は、妹のAさんの他に2人いました。
兄のBさん、既に他界した兄Cさんの子である甥Dさんです。
Bさんとは、何十年も交流がなく住所も分かりません。そのため、お母様の死も伝えられていませんでした。
一方、甥のDさんとは、連絡が取れる程度のお付き合いということでした。

Xさんは、妹Aさんとの老後のことも考え、定期預金をしていました。
ご自宅は都営住宅で、相続財産はその預貯金となります。
今のままでは 生活費もままならないAさん。
一日でも早く相続手続をして、預金の解約手続を行わなくては、暮らしていけません。
そこで、センターでBさんの住所を調べ、Aさんから手紙を出してもらうことになりました。
Aさんとしては、全額受け取りたいと希望しました。
Xさんがふたりの老後に、と備えて蓄えてくれていた預貯金に対して、当然の主張です。
しかし、Bさんからの回答は、法定相続分の3分の1での分割しか認めないというものでした。

難航する分割協議

その後、Aさんは何度か交渉を試みました。
ずっと一緒に助け合って生活してきたのは自分だ、とAさんは訴えました。
それでも、答えは変わらず、交渉を重ねる度に、Bさんとの話し合いはこじれてしまったようです。
DさんはAさんに同情的でした。
けれども、結局、Bさんに押し切られる形で、遺産分割協議が成立しました。
きっちり法定相続分で、Aさん、Bさん、Dさん3分の1ずつという内容でした。

その後、Aさんは高齢ながらもご自身で働かなければならなくなりました。
頼りにしていた預貯金も少なくなり、相続手続が完了しても、なお途方にくれる状況でした。
ただ、ひとつだけ希望が残りました。
今回の相続により、甥のDさんと交流が深まったことです。
Dさんは、何かとAさんを気にかけ、サポートしてくれているといいます。
Aさんにとっては、頼りにできる親族ができたことが何よりの救いとなったのです。

子どもがいない2人以上の兄弟姉妹間の相続では、法定相続分より多くの配分を受け取りたい場合に、注意が必要です。

◆参考◆

子供がいない兄弟姉妹の相続

●法定相続分の割合

お子様がいない高齢の兄弟姉妹が、助け合いながら一緒に暮らしているご家庭を見かけます。
その場合、ご両親(直系尊属)は既に亡くなっていることが多く考えられます。
そんななか、どちらかが亡くなると、兄弟姉妹が相続人となります。
そのご兄弟が亡くなっていれば甥姪が相続人です。
もし、生計を一にして一緒に暮らしていた兄弟姉妹がいたとしても、法定相続分は、離れて住んでいる他の兄弟姉妹と変わることはありません。
遺産の配分を多く得るには、遺産分割協議において他の兄弟姉妹の合意を得なければならないのです。
今回の場合、Xさんがすべての財産をAさんにという遺言書を書いていれば、Bさんの合意を取り付ける必要もなく、Aさんの心労はいくらか軽減できたことでしょう。

●預貯金の払戻し制度の創設

今般の民法改正により、相続人の当面の必要な生活費について、
遺産分割前でも払戻ができる制度が創設されました。(2019年7月1日施行)
預金の解約には相続人全員の合意が必要ですが、事情により難しい場合には、
当面の生活費や葬儀費用の支払いのために預金の一部払い戻しが可能となります。
この制度を使えば、Aさんは協議を急ぐことなく、時間をかけてBさんとの話し合いができたかもしれません。

お困りの際は、いつでも当センターにご相談ください。

事例 109配偶者として自宅を相続したい

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Aさん

夫が亡くなりました。二人で住んでいた自宅を相続したいですが、夫の連れ子と揉めずに遺産分割協議ができるか不安です。

配偶者居住権をご存知ですか?

「配偶者が自宅に住み続けることはできますか?」
Xさんが亡くなったとして、妻であるAさんがご相談に見えました。
Aさんは、ご主人のXさんと二人暮らしです。また、お二人の間にお子さんはいらっしゃいません。
しかし、ご主人は再婚でした。死別した前妻の連れ子であるBさんを養女にしています。
そのため、相続人はAさんと養女のBさんとなります。AさんがXさんと結婚した時には、Bさんはすでに独立していました。現在もやり取りはありますが、同居をしたことはないとのこと。
「もし遺産分割協議をするとなったら、ちゃんとできるか不安で…」
と、ご不安な様子のAさん。
自筆で書かれたXさんの遺言書がありますが、開封してみないことにはなんともわからない状況です。

自筆証書遺言は検認を。

まずは、家庭裁判所で遺言の検認をすませることになりました。
AさんとBさんが内容を確認すると、「預金を2人で半分ずつ分けるように」という記載のみでした。
ところが、実際には、遺言で指定してある預金以外にも財産があったのです。
ご自宅、他の金融機関の預金、個人年金の受給の権利、過去に購入していた上場株式、支払済の終身保険の保険金などなどです。
預金以外の財産が判明したとなれば、Bさんとの遺産分割協議が必要となります。
「預金の額が少ないから、自宅を売却する必要があるかも…」
ますます不安そうになるAさんでした。

これらの財産をもとに、おふたりは納得がいくまで話し合いをしたそうです。
Bさんとの遺産分割協議が上手くいかなければ、自宅を売却して資金を確保が必要です。
そうなれば、Aさんは住み慣れた自宅にとどまることが出来なくなってしまいます。

実際は、揉めることなく、自宅はAさんだけが相続し、その他の資産を遺産分割することでまとまりました。
「自宅は売却したくないと思っていたので良かった」
と、Aさんは安堵されていました。
今回のようなケースで注目されているのが、民法改正により新設された「配偶者居住権」の制度です。
残された配偶者が、住み慣れた自宅を売却せずに済む選択肢の一つとして役立つ制度になりそうです。

相続人は配偶者(現在の妻)と、前妻の連れ子(養子縁組済み)の2名

◆参考◆

注意したい自宅不動産の相続

●相続における自宅不動産

今回のケースで、Xさんは前もって自筆証書遺言を残していました。
しかし、内容は預金のことだけで、自宅不動産のことは書かれていませんでした。
おそらく、今住んでいるAさんが自宅を相続することは当然としてお考えだったのでしょう。
もし、「不動産をAさんに」という旨があれば、Aさんは戸惑わずに自宅を相続することができました。
そして、Bさんは遺留分侵害額をAさんに請求することで、Aさんはこれまでどおり、住み慣れた家で安心して暮らすことができたのです。
遺言を書く際には、すべての財産を網羅しておくことで、後々のトラブルを防ぐことができるのです。

●配偶者居住権という選択肢

配偶者の死亡後、残された多くの方が、住み慣れた自宅で居住を続けることを希望します。
特に高齢者であれば、なおさら、新たな環境で生活を立ちあげることは容易ではありません。
こうした配偶者の居住する権利を保護すべく、民法改正により「配偶者居住権」という権利が創設されました。

この改正により、以下のことができるようになりました。

 ・配偶者は遺産分割で配偶者居住権を取得することにより、
  終身又は一定期間、その建物に無償で居住することができるものとする
 (※配偶者が相続開始時に被相続人所有の建物に居住していた場合に限る)
 ・被相続人が遺贈等によって配偶者に配偶者居住権を取得させることもできるものとする

これは、法定相続分で遺産分割をする際に、
自宅不動産以外の財産(預貯金等)が少ない場合などの選択肢となり得ます。

配偶者が自宅の所有権を相続すると、預貯金等を十分に相続できないことになる為、
住む場所は確保できても、今後の生活は不安定になるおそれがあります。
そこで、配偶者が自宅の所有権を取得せずに、この配偶者居住権を取得すれば、
終身又は一定期間住み続けることができます。
また、配偶者居住権は所有権よりも低く評価されることになるため、多くの預貯金を相続できることになります。
(この配偶者居住権は2020年4月1日より施行されています。)

参考サイト:法務省「残された配偶者の居住権を保護するための方策が新設されます。」

事例 107対策をせず、押し付け合いになった遺産。

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Aさん

実家はたくさんの土地や建物、田畑を持つ旧家です。
父が亡くなり、それらの遺産を三姉妹でどう相続すればいいのやら…。

生前対策を考えておきたい財産はありませんか?

今回は、生前に対策をしなかったために大変な思いをした事例です。
お父様が亡くなったとのことで相続人全員が揃ってご相談にいらっしゃいました。
長女Aさん、二女Bさん、三女Cさんの三姉妹です。

ご実家は代々続く旧家とのことです。三姉妹は皆嫁ぎ、現在は誰も実家を継ぐ人がいないとのことでした。
「旧家にとって『跡取り』はとても重要なんです。」と口々に思いつめたようにおっしゃいます。
三姉妹の結婚話が持ち上がるたびに、そのことが原因で揉めたこともあったようです。
その後、跡取り問題は封印され、3人とも嫁ぎ、年月が流れ
そして、このたび、お父様がお亡くなりになられたとのことでした。

「これから先、実家の広い敷地やお墓を誰が引継ぎ、どう管理すればいいのか…」
聞けば、実家には古い母屋や離れ、何十筆もの田畑も所有しているそうです。三姉妹は途方にくれておられました。しかも、広大な宅地は高額な評価額となり、相続税も納めなければなりません。

「いっそ相続放棄をしてしまいたい。」
との思いも過ります。しかし、親戚の叔父叔母の手前、そんな無責任な事が許されるはずがないとのこと。すると、事態はそれぞれの配偶者を巻き込んでの分割協議へ発展。
「遺産の取り合い」ではなく「押し付け合い」となったのです。
仲の良かった三姉妹の間には、話し合いを重ねるごとに不穏な空気が漂うように…。
ついには「長女VS二女&三女」という関係になってしまいました。
最終的には、長女のAさんが全てを相続する形で協議が成立。親戚の叔父叔母からの叱責や、相続税の申告期限も迫る中での苦渋の決断でした。

◆参考◆

押し付け合いになる前に…

その後、Aさんから聞いたお話です。
「相続税は相続した預金で何とか支払うことができました。しかし、これから先はどうしたらいいか…。」
このままでは、土地や建物の固定資産税や土地の管理費用を払い続けることになります。
「とても預金では賄えません。将来的には土地を切り売りするしかありません。そうなればきっと妹達や親戚は私を責めるでしょう。幼い頃から三姉妹平等に育ってきました。でも、お墓も私が守り続けなければならない。まさか、こんなときだけ長女の責任を負わされるなんて…。」
と、Aさんは悲しそうにおっしゃっていました。
ときに、先祖代々から受け継いできた「家」が子孫を苦しめる事になるのです。
現代では価値観の多様化から、「誰も相続したくない」という相続問題も増えそうです。
押し付け合いになる前に、生前対策を考えておきたいですね。

 (例)・誰も住んでいない実家
    ・地方にある山林、原野の処遇
    ・祭祀財産の承継  など

●不要不動産の対策

今回の事案のように、受け継いできた実家不動産だけでなく、将来の開発を期待して買った山林や原野 などの不要不動産についても、遺産分割協議の際に、相続を押し付け合うということがあります。相続により、行ったこともない空地の固定資産税を負担することになりかねないからです。そのような不動産をお持ちの場合は、相続による混乱が生じるのを防ぐため、前もって売却先を探しておくなどの生前対策が望まれます。

●祭祀財産による対策

お墓や仏壇や位牌等を「祭祀財産」といいます。相続が開始すると、被相続人の財産に属した一切の権利義務は相続人に承継されるのが原則ですが、「祭祀財産」は第一に被相続人の指定に従って、次に慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者に承継されることと民法で定められています。

 実際の遺産分割協議では、祭祀財産を承継する人が「お墓を守っていくから」という理由で実家を相続したり、財産を多く相続したりすることがあるようです。これらの祭祀財産は「財産」というより「先祖を敬う気持ち」によるところもあり、受け継ぐ人にとって大きな負担となる事もあります。今回の事案のように押し付けあう「争続」が発生しないよう、生前の話し合いが重要です。

事例 105相続人以外へ財産を贈与できますか?

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Aさん

叔父の相続財産を、相続人以外の方に受け取ってほしいのです。どうしたらいいでしょうか?

民法改正により、相続人以外の親族へ遺産分配ができるようになりました。

「相続人以外の方に、相続財産を受け取ってもらえますか?」

Aさんが叔父の相続手続きの相談でいらっしゃいました。
叔父のXさんは生涯独身で5人兄弟の末っ子でした。また、既にご兄弟も全員お亡くなりになっているそうです。
そのため、相続人はAさんを含む甥姪7人とのことでした。
そして、Aさんが代表として動くことになったため、相談に見えたということでした。その理由は、一番お若いことと法定相続分が最も多いことだそうです。

お話をするうちに、Aさんが冒頭の質問をされました。
なんでも、相続人以外に、ぜひ財産を受け取ってほしい方がいるそうで…。

①Xさんのごきょうだい

先述の通り、叔父Xさんのごきょうだいは既に他界していますが、少々複雑だったようです。
まず、いわゆる異母兄弟が3人(長女Pさん、長男Qさん、次男Yさん)。そして、両親が同じZさん(Aさんのお母様)でした。ただ、母親が違うとはいえ、長女Pさんは弟Xさんを可愛がっていたそうです。
それは、Pさんの嫁ぎ先の北海道にXさんも居を移したことからも明らかでした。そして、Pさん亡き後も、その長男Rさん家族がXさんの面倒をみていたというのです。

②真の貢献者Bさん

Aさんがお葬式のために北海道に行くと、Rさんは10年前既に他界していました。
さらに、奥さんのBさんはご主人が亡き後、義理の母であるPさんを看取ったそうです。
その後、夫の叔父にあたる独居老人であったXさんのお世話を、子供たちと一緒にしてくれていたそうです。
それほど尽くしてくれたにもかかわらず、相続財産を受け取ることはできません。BさんもRさんのお子様もXさんの相続人とはならないからです。それは、RさんがXさんより先に死亡したためです。Aさんはそのときに初めて、兄弟姉妹の代襲相続は甥姪一代限り、と知りました。

「なんとしてもBさんご家族に相続財産を受け取ってほしい。真の貢献者は彼女です。財産を受け取る権利があります!」

そう思ったAさんは、東奔西走の末、当センターに辿り着いたということでした。

まず、Aさんは税理士に、Bさんに贈与税の負担のかからない方法を確認しました。そして、Xさんの相続人(Aさんの従兄弟たち)一人一人に掛け合いました。最後に、Cさんに一役買っていただくことで分割協議がまとまりました。相続人がそれぞれ相続分から出し合い、Cさんの相続分に500万円上乗せするという内容です。
その後、Cさんから1年に100万円ずつ、計5年間、Bさんに贈与してもらうことになりました。
亡Rさんの妹Cさんは、北海道にお住まいでBさんと親交がある方だったのです。

相続人以外の貢献者は法定相続人の配偶者とその子供達

◆参考◆

●相続人以外の貢献者

「なによりその努力を皆さんが認めてくださったことが嬉しい」
何の見返りも期待せず介護をしていたBさん親子も、大変喜ばれました。
故人のお世話をしてくれていた人にこそ遺産を渡したいというAさんの優しい熱意。それが、他の相続人の心を動かした事案でした。

●「特別寄与料」の請求

民法改正により、相続人の親族(相続人以外の者)の貢献を考慮するための方策の条文が追加されました。
(2019年7月1日施行)
これまで、多大な貢献をした場合でも、相続人以外の者は遺産の分配を受けられませんでした。
それでは実質的公平に反するため、今般の民法相続法の改正がなされました。
相続人以外の者であっても、一定の貢献をした場合には相続人に対して「特別寄与料」を請求できることとなりました。(ただし相続人の親族に限る)

参考サイト:法務省(相続法の改正)

●今回のケース

今回は贈与の形で、本来は遺産を受け取ることのできないBさんへの優しさが実ったケースでした。
今後は、この法律改正が施行されたため、次のような場合の請求が可能となります。

 例)長男の死亡後、その妻が義父の介護をしており、その義父が亡くなった場合。

こうした場合に、長男の兄弟姉妹に対して、妻が直接金銭の請求をすることができるようになりました。
(相続人以外の被相続人の親族が無償で療養介護等を行っていた場合に限る)

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