過去事例

事例 45養子の子の代襲相続権

小川さん(仮名)の夫は、昭和42年に小川さんの両親と養子縁組をしました。その後夫は、平成16年に死亡しています。

この度、母が亡くなりました。
小川さんには3人のお子さんがおり、二男と長女の2人は夫の養子縁組後に生まれています。
養子縁組前に生まれた養子の子(長男)は代襲相続人になれないと聞いたことがあり、果たして長男は母の遺産を引き継ぐことができるのか、といった少し特殊な事案でした。代襲相続については、民法887条2項で、

「被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、(中略)、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りではない」

と規定されています。
このことから、代襲相続人となるには、①相続人の直系卑属であること、②被相続人の直系卑属であること、③相続開始時に存在すること、が必要であると言えます。
また、養子との関係では、民法727条で「養子と養親及びその血族との間においては、養子縁組の日から、血族間におけるのと同一の親族関係を生ずる」と規定されており、判例で「養子縁組以前に生まれた養子の直系卑属と養親との間には親族関係を生じない」とされています。
よって、養子縁組前に生まれた養子の子は養親との間では親族関係、つまり、養親の直系卑属にはならないことになり、原則として代襲相続人にはなれません。

しかし、今回の場合、長男は被相続人の実子である小川さんの子であり、小川さんを通して被相続人の直系卑属になるため、二男・長女とともに母の代襲相続人になることができます。
このことは、判例で示されています。
「養子縁組前の養子の子が養親の実子の子でもあって養親の直系卑属になるときは、養親を被相続人とする相続において、養子の子は、養親より先に死亡した養子を代襲して相続人になる。」(大阪高判平1.8.10)

以上のことを司法書士にも確認を取り、長男さんも代襲相続人になる旨をお伝えしたところ、大変喜ばれました。

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