
Aさん
妹が亡くなりました。旦那と子供に先立たれているので、相続人は102歳の母親一人です。
超高齢の相続人がいる場合は、注意が必要です
超高齢 化社会、人生100年時代、と言われる昨今において、
相続人も高齢化の一途をたどる一方です。
高齢であるほど、身体能力や認知機能も衰えてきますので、そうした配慮が必須となります。
相続人が認知症の場合は、遺産分割協議もご自身で行えませんし、
今回のケースも、唯一の相続人が102歳とのことで、まずは初回面談で詳しくお伺いしました。
超高齢でもお元気な相続人
Aさんの妹、Xさんにはご主人もお子様もいらっしゃいました。
しかし、ご主人が3年前に、お子様も2年前に亡くなっています。
また、お父様も既にお亡くなりで、お母様であるYさんがご健在でした。
この唯一の相続人となるYさんが102歳。
年齢的に認知症が心配されましたが、とてもしっかりとしていらっしゃり、
『Xも婿も孫も順番を守ってもらわないと困る』と大変悲しそうなご様子でした。
相続人となる順番
お元気とはいえ超高齢なYさんは、Aさんのサポートのもと、Xさんの相続手続に着手。
すると、Xさんのご主人甲さん名義の不動産や、お子様乙さん名義の株式が出てきました。
甲さんが亡くなった時の相続人はXさんと乙さんで、
乙さんが亡くなられた時の相続人はXさんとなりますので、
順序だてて手続きをしていき、最終的に、全ての財産をYさんが相続することになります。
無事にXさん、甲さん、乙さんの3名分の手続が完了となり、Yさんは喜んでくださいました。
しばらくして、Yさんが逝去されたと知らせを受けました。
103歳の大往生でした。
Yさんの相続人は、Aさんお一人です。
通常なら、年長者から順に引き継いでいくはずの相続財産ですが、
婿から孫へ、孫から娘へ、娘から母へと引き継がれた財産を、Aさんがご相続されることとなりました。
「これからの人生を先に亡くなったみんなのために使っていきたい。家を守っていきたい」
Aさんは、強い気持ちをお話ししてくださいました。
しっかりと引き継がれたお母様の思い、不動産よりも、預貯金よりも素敵な相続財産だと感じました。
◆参考◆
●同じ方が亡くなられる場合でも、亡くなる順番によっては想定していなかった方が相続人となる場合がありますので注意が必要です。
●相続人の順位
死亡した時点で第一順位の相続人となる子や孫(直系卑属)がいない場合、
第二順位である親(直系尊属)が相続人となります。(今回の事例パターン)
なお、乙さんに子(Xさんの孫)がいれば、代襲相続人として相続人となりますので、
超高齢者の親であるYさんは相続人にはなりません。
また、Yさんが亡くなっていて、親も子もいない場合には、
兄弟姉妹(第三順位)であるAさんがXさんの相続人となります。
[例]事例と別条件のパターン
事例ではXさんの配偶者・甲さんが亡くなり、その後に子・乙さんが亡くなっていました。
そのため、甲さんの相続財産は、甲さんからXさんと乙さんへ、乙さんから親のXさん、
そして、Xさんが亡くなったため、義母であるYさんへと引き継がれました。
では、仮に子の乙さんが甲さんより先に亡くなっていたとしたら、どうなるでしょうか?
甲さんが亡くなった時点で、既に子の乙さんがいない場合です。
そうすると、相続人は妻のXさんと甲さんの親(直系尊属)となり、
親が既に亡くなっていれば、甲さんのご兄弟姉妹(亡くなっていれば甥姪)が相続人となります。
そのため、甲さんの相続手続は、Yさん一人だけでは解決できなかったと考えられます。

【相続人については、国税庁のホームページもご参照ください】