大学の主任教授であるAさんを亡くされた奥様から、手続きの依頼がありました。Aさんのお通帳を拝見したところ、年に1~2回出版社のようなところから振り込まれる金額がありました。奥様にお伺いしたところ、専門書を出していたことが分かりました。調べてみると著作権は生存の間と死後50年間継続される、ということが分かりました。
そこで、著作権の評価に取り掛かりました。まず、出版社に今後の発行の見込みを伺い、つぎに、最大を50年としてその印税の収入期間とし算式に当てはめていきます。
著作権の評価(原則): 年平均印税収入の額×0.5×評価倍率
注1:「年平均印税収入の額」 課税時期の属する年の前年以前3年間の平均額
注2:「評価倍率」 印税収入期間に応じる基準年利率による福利年金現価率
著作権が死後50年も続き、それを相続できるということを相続人である奥様もご存知なく、出版社にも通知していなかったようです。相続手続支援センターが出版社に連絡した際に、著作権の名義変更していただきたいと申し出て、相続手続を無事終わることができました。
評価の面では、印税収入期間となる、「今後の発行の見込み」については「未定」という回答のみをいただけました。Aさんの専門書や類似の他の書物を参考にしても、出版社で見当をつけるのは難しいとのことでした。
印税の1回の入金は大きくはなかったのですが、通帳をくまなく見ることで、手続きの確認をしていたことが発見につながったと思います。危うく相続手続きの財産から漏れてしまうところでした。