Aさんは、お父様が亡くなり相談に来られました。
お母様はすでに亡くなられており、相続人は子であるAさんおひとりだけとの事でした。
依頼を受けて調査を行ったところ、Aさんの元夫であるBさんが、お父様と養子縁組されており、相続人であることが発覚しました。
事情をお伺いしたところ、AさんはBさんからDVの被害を受け、弁護士を通しての協議の結果、離婚が成立していました。
しかし、お父様とBさんとの養子離縁は実行されていなかったのです。
お父様、Aさん共に、離婚が成立すれば養子も解消されると勘違いしていたそうです。
結局、お父様の相続人はAさんとBさんの2人ということになりました。
弁護士を介しての遺産分割協議が行われ、AさんはBさんへ法定相続分である1/2相当額を渡さなければならなくなりました。
このケースの場合、生前に養子離縁が行われていれば、このような事態になる事はなかったと思われます。
もしBさんが養子離縁に合意しなかった場合には、家庭裁判所に「養子離縁の調停申立」を行い、調停してもらう必要がありました。
調停に時間がかかり、なかなか養子離縁が実行されなかった場合には、遺言書を残すことで、Bさんの主張する権利を遺留分である1/4まで減らすことも可能でした。
この事例は、勘違いから招いた争族案件でしたが、生前に対策を打つことで、回避することは可能でした。
生前対策の重要性を、痛感した案件でした。