事例 10遺産分割協議書は大切に保管しましょう

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Aさん

山林の名義が18年も前に亡くなった父のままでした。どうしたらいいですか?

『不動産の名義変更ができていなかったみたいなの…。』

と、お電話をくださったAさん。以前、お母様の相続手続きのお手伝いをさせていただいたお客様です。

詳しくお話を伺うと、どうやら、18年前に亡くなったお父様の山林の名義が変わっていないということでした。しかもその土地は、

①お父様の所有している持分が少ない
②山林であったために固定資産税の請求書も届いていなかった
③生前にお父様からすでに売却したと聞いていた
④権利書が自宅に保管されていなかった

ということで、Aさんはお父様が生前に処分したものと思っていたようです。

このたび、Aさんのもとにお父様のご友人から電話があり、該当の不動産を買いたい方がいるので、早急に名義変更してほしいと言われたことで、事実が発覚。

Aさんは慌てて家中をひっくり返し、18年前の遺産分割協議書を探し回りました。

ようやく、重要書類の中から当時の相続税申告書を発見し、期待に胸を膨らませて中をみると、そこには遺産分割協議書が!

しかし、喜び勇んで実印の押印のあるページを見ると、残念ながらコピー…つまり、原本ではありませんでした。

ただ、遺産分割協議書の中には、『この遺産分割協議書に記載のない財産はAさんが受け取るものとする』との記載がありました。

その場で司法書士に連絡をとり、何とか遺産分割協議書のコピーで登記をすることができないものかと相談しましたが、やはり、原本でないと名義変更はできないとの回答。

解決方法として、前回の遺産分割協議書と抵触しない同様の内容で、該当不動産の部分のみの遺産分割協議書を再度作成することにしました。

Aさんから他のご相続人へ連絡し、事の次第を説明し、遺産分割協議書に署名、押印をいただくことができ、なんとか数週間で、不動産の名義変更を無事完了することができました。

その後、Aさんは不動産を売却し、ホッとしたとおっしゃっていました。

大切な書類はまとめておかなければいけないね…と苦笑い。

Aさんは他のご相続人全員と仲が良く、再度遺産分割協議書を作成することができましたが、不仲だったら…、相続人が認知症になっていたら…到底、スムーズに名義変更はできなかったでしょう。

実は、とっくに済ませたはずの故人の相続手続きで、土地や山林、不動産の名義変更のし忘れが、後になって判明するケースはとても多く発生しています。

そうした時には、当時作成した遺産分割協議書の原本が必要となりますので、お手続きが完了した後も、必ず大切に原本保管するようにしてください。

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