過去事例

事例 47気持ちのこもった遺言によって寄付された美術品

田中さん(仮名)は妹と2人姉妹で、幼いころに父親が亡くなり、母親が女手一つで田中さんと妹を育ててきて、とてもご苦労をされてこられました。
母親は、誰にでも懐深く親身に接し、また非常に責任感が強く、多くの公的な役職を歴任し、みんなに頼りにされる方でした。

そんな母親が、ガンで急に亡くなってしまいました。本当に惜しい人をなくしたものでした。
実は母親は、万一に備え、遺言を残されていました。遺言には、子供たちだけでなく、それまで関わってきた多くの人たちへの溢れる感謝の思いが切々と書かれていて、拝見させていただいたセンターの相談員も、涙をこらえることができませんでした。

遺言の中で、
「田中家の地下収蔵庫に残されている絵画は、先代(田中さんの父親方の祖父)が残してくれたものと、自分が購入し大切にしてきたものである。自分が死んだら、地域の○市立美術館に寄付し、△室に飾ってほしい」
と書かれていました。
田中さんと妹さんは、母親の気持ちを大切に、寄付の手続きをすることにし、当センターがお手伝いして、母親が購入した絵画は、目録作成・寄付の手続きとスムーズに進み、速やかに完了できました。

しかし、先代が残してくれた絵画が問題でした。
先代も遺言を残しており、絵画は長男(田中さんの父親)と二男(田中さんの叔父)に相続させるとありました。
実は叔父さんは、田中さんの父親の葬儀に参列したのを最後に行方不明となり、誰も居場所を知らなかったために、母親の葬儀にも呼べない状況でした。
叔父さんの同意がないと寄付ができません。当センターにて、叔父さんの最終住所地を突き止めましたが、そこは空き家で、近所の方に聞くと10年くらいはずっと空き家だとのことでした。それから3か月後、その時の近所の方から連絡があり、「○市△町で雑貨屋をしていることがわかった」、とのことでした。深く感謝し、早速連絡し、お会いすることができました。
お話をお聞きすると、今は厳しいながらも安定した生活を送っているが、昔事業に失敗し、誰にも連絡できない時期があり、それからそのまま誰とも交流がなくなってしまった、とのことでした。
訪ねてきた理由をお話しすると、田中さんとも会って話すということになり、田中さんから母親の遺言を見せてもらった時には、とても感動され、快く寄付に同意してくれました。
ほどなく寄付の手続きも終えることができました。その後、田中家親族と叔父さんとの交流も再開したようです。

今回寄付した絵画は全部で、30作品ほど。
そのうちの20作品は、市場流通価格があり、売買すればまとまった金額になるとのこと。
本来なら揉めてもおかしくない状況でしたが、田中さんの母親の生前の人柄もさることながら、すべての人を感動させた遺言によって、故人の遺志通りに、絵画の寄付が無事できたのだと思います。故人の深い感謝の気持ちが、みんなの気持ちを一つにしたのだと感じています。

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