過去事例

事例 35生前にもらった財産にはもらった理由がある

Aさんには2人の姉妹Bさん・Cさんと、1人の弟Dさんがいます。4年前に母、昨年父を亡くされ、相続手続きの相談に相続手続支援センターに来たのです。Aさんの話では、「2番目の妹Bにいくつかの遺産分割の案を提案しているものの、いずれの案についても話にのってもらえない」とのことでした。

よく話を聞いてみると、過去、Aさんは現在住んでいる自宅の土地建物の購入資金と、子供(亡父にとっての孫)の大学入学の資金の贈与を亡父から受けていました。また、3番目の妹Cさん、そして弟DさんもAさんと同様に土地建物購入資金と子の学費について贈与を受けていました。
一方、2番目の妹Bは、地主の元へ嫁いだとのことで、過去に受けた贈与は引っ越しのための軽自動車の購入資金のみでした。そのため、AさんがBさんに遺産分割の案として均等の分割の提案を出したところ、「これでは不公平」と言って、話を聞いてくれなくなってしまったというのです。

また、CさんとDさんは、亡父の生前、身の回りのことをよく手伝っていて、生前の資金贈与はあたりまえ、と考えているようでした。Aさんもこれら身の回りの世話について、遺産分割に有利になると考えているようでした。

亡父は生前、「遺産争いはうちでは起こるはずがない」、と言っていたそうですが、現状をもし見たらすごく悲しんだことでしょう。遺言書がない今、それぞれの考えが食い違って、話し合いの糸口が見つからない状態でした。
結局、弁護士案件となりましたが、遺言書の重要性、そして生前贈与についての気配りの重要さを感じた案件となりました。

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