事例 121相続人が認知症の場合の手続き

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Aさん

唯一の相続人は認知症を患っていて、相続手続きが進みません。

相続人が認知症であっても、士業との連携でしっかりとサポートいたします。

相続人が認知症の場合は、どのように手続きをすればいいかとお悩みの方は多くいらっしゃいます。

今回のケースでは、奥様のYさんは認知症を患い施設で暮らしで、
ご主人のXさんが、ほぼ毎日、自宅と施設を往復してYさんのお世話をしていました。
ところが、そんなある日、Xさんが急死されました。ご夫婦にはお子さんがおらず、
Xさんの相続人は、奥様のY様と、Xさんの妹のZさんのお二人でした。
しかし、Zさんが家庭裁判所で相続放棄の申述をしたため、Yさんが唯一の相続人となりました。
ところが、相続人のYさんは認知症で、Xさんが亡くなったことすら認識できない状態です。

①認知症の相続人の代わりに

相続人が認知症であれば、当然、自ら手続きをすることは出来ません。
そこで、Yさんの代わりに動かれたのが、Yさんの弟Aさんでした。
早速、Aさんは相続の手続きを進めようと色々なところへ相談に行かれました。
しかし、Xさんの相続人ではないAさんは、どこに行っても門前払い。
認知症の相続人であるYさんに代わって手続きをするには、成年後見人を立てる必要があったのです。

②相続人が認知症で山積する問題

難航する手続きに、追い打ちをかけるように問題は山積していきます。
第一は、Yさんが入居する施設への支払や医療費を支払いです。
とはいえ、相続人が認知症では、支払いなどできるわけもなく、
Xさんの相続手続が進まないので、Aさんが立て替える必要がありました。
その他にも、空き家となった自宅の管理の問題や、
多くの財産を残されていたXさんの財産について、相続税の申告と納税も必要でした。

そんなわけで、途方に暮れたAさんが、やっとの思いでセンターに相談に来られたのでした。

まず、Yさんの成年後見人選任をAさんが申立てる手続きを進めました。
そうして、Yさんに成年後見人が選任されれば、
Xさんの相続手続だけに限らず、相続手続が終わった後も、
Yさんの財産や相続することになる不動産の管理も、後見人がしてくれることになります。
なお、それまでAさんがYさんの代わりに立て替えてきた費用は、
後見人申立てにかかる費用を除き、後見人に清算してもらえます。

さっそく申立てを行い、後見人が選任されました。
相続人が認知症である、ということは、
YさんはXさんが亡くなられたことを知ることができないため、
「自己のために相続が開始されたことを知った日の翌日から10か月」という
相続税の申告期限についても、
成年後見人が選任された日の翌日から10か月ということでカウントされました。

◇相続人が認知症、成年後見人の選任後は◇

相続人が認知症であっても、後見人が選ばれるまでの間に色々と準備ができていたお陰で、
申告も遅滞することなく完了することができました。
また、Aさんがそれまでに支払っていた費用についても、
後見人に請求し、Aさんのもとにお金が返ってきました。
相続の手続きが無事終わったこと、
さらに、今後のYさんの財産について成年後見人に管理してもらえることで、
ようやく、Aさんは心底安心されたようでした。
相続人が認知症でも、サポートしていただけてよかったです、と
晴れやかに仰ってくださいました。

  

◆参考◆相続人が認知症のケース

●認知症の相続人と成年後見人

認知症や知的障害等の精神上の障害があるため、
常に自己の行為についての判断能力を欠く状況にある者について、
配偶者や四親等内の親族等は、家庭裁判所に対して後見開始の審判を求めることできます。
後見が開始されると、成年後見人が、被後見人の財産を管理し、
財産に関する法律行為について被後見人を代表します。
相続に関して財産を取得する行為も成年後見人が行うこととなります。

●相続税申告の起算日

相続税は、自己の為に相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に申告納税を
しなければならないとされており、死亡の日が起算日ではありません。
従って相続人毎に申告期限が違うということも生じます。
ところが、相続人が認知症等で判断能力に欠け、亡くなったことを把握することをできない場合、
相続手続の為に、まずは後見開始の審判を家庭裁判所に求め、成年後見人を選任してもらわなければなりません。
その結果、成年後見人が相続開始を知った日の翌日が相続税申告の起算日となりますので、
新たに選任された場合は、その選任された日の翌日が起算日となります。

  

認知症の妻が相続人になることを懸念する夫のイラスト

  

◆認知症については、厚生労働省の「成年後見制度とは」のページなどもご参照ください◆

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