事例 116相続税を考えた対策

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Aさん

相続税の負担を考えると、自分が相続しない方がいい、と母が言っています。本当にそうでしょうか?

相続税の負担を減らすなら、自分は相続しない方がいいという主張。

相続税のことを気にしている相続人がいる、とご相談にいらっしゃったのは、
兄のXさんを亡くされて間もないAさんでした。
Xさんには配偶者も子もないため、必須の相続人と第一順位の相続人がいないことになります。
そして、お父様は既に亡くなっているとのことですが、お母様のYさんはご健在で、
さらに、96歳と高齢ながら意識も判断もしっかりしているとのことでした。
したがって、相続人は、第二順位のYさん一人ということになります。
さて、こうしたご説明も兼ねて、次男であるAさんと長女のBさんにもご同席いただきながら、
Yさんのお宅で初回面談を行い、お話しを伺うことになりました。

相続税の基礎控除

まずは、相続税を確定するために相続財産の把握が必要です。
Xさんはお父様から相続した自宅不動産にYさんとが同居していたので、
相続財産はこの不動産と金融資産、生命保険の死亡保険金でした。
また、Yさんの死亡時にXさんが受け取る予定の生命保険もありました。
まさか、先にXさんが亡くなるとは、誰も想定していなかったのです。
通常、相続人が一人の場合、相続税の基礎控除額は3,600万円で、
相続財産の全体がこの額を超えると相続税の申告が必要となります。

相続順位を繰り下げるには

今回、Xさんの相続財産は3,000万円で、基礎控除内で収まりました。
すると、Yさんが改めて仰いました。

「自分も老い先短く、無駄に財産を持とうと思わない。
 はじめから、Xの兄弟たちに直接相続をさせる良い方法はありませんか?」
「私が相続してしまうと、私の相続のときに、AとBの税金額が多くなるでしょう?」

相続権を下位の順位に繰り下げるには、Yさんご自身が相続しないことにする、
として、相続放棄をするという方法をご提案しました。

実は、Yさんは今回の相続だけでなく、次に起こるであろう自分の相続時のことを懸念されていたのです。
なぜなら、この時点でYさんの資産は、ご主人から相続分を含めて、すでに4000万円を超えていたからです。
さらに、ここにXさんの相続財産がプラスされれば、資産額はより大きくなり、
そうなれば、自ずと、先々の相続税の負担も大きくなる…。
つまり、AさんとBさんがお母様のYさんのご相続をする時に、
残された家族にいらぬ負担をさせないようにしたい、と考えられたわけです。
そして、Yさんのご希望通り、まずはYさんの相続放棄の手続きを家庭裁判所で行いました。
そうすることで、被相続人Xさんの兄弟姉妹であるAさんとBさんが新たに相続人となりました。
こうして、96歳の元気で聡明なお母様のこの判断により、
税金の負担なく財産は次世代へと相続されていくことになったのでした。

◆参考◆

●相続放棄

相続発生後、相続人は相続の権利を放棄することができます。
これを「相続放棄」と呼びます。「ゼロ円相続」と混同しがちなので注意が必要です。
また、今回はあくまで前向きな選択として用いられたレアケースでしたが、
多くは、借金などのマイナス財産が多い場合や、相続争いに巻き込まれることを回避したい、
といった理由などから選択されているようです。

●相続税の対策

相続税は、「3,000万円+600万×法定相続人の数」で算出した基礎控除額を超えた場合に、
相続税の申告が必要となります。
今回は、相続人がYさん一人で基礎控除額は3,600万円。
Yさんが放棄すると、相続人はAさんBさん2人となりますが、基礎控除額は変わりません。
もしYさんが放棄をしなかった場合、Yさんの財産はご自分の財産を加算して7,000万となり、
その後のYさんの相続では、相続人がAさんBさん2人で基礎控除額が4,200万円となるので、
相続税申告の負担は免れないところでした。

相続税の基礎控除に関する国税庁のタックスアンサー

   

  

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生前対策をしっかりすることで、相続税の対策時の労力が軽減される場合もあります。
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