事例 115貸金庫の相続手続

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Aさん

貸金庫を開けて夫の相続手続をしたいのですが、目が不自由なので困っています。

貸金庫を開ける際は、相続人全員の同席が原則です。

「夫の貸金庫を開けるにはどうしたらいいですか?」

夫Xさんが亡くなったということで、奥様のAさんとご自宅で面談しました。
Aさんは目が不自由な方です、ご夫婦にはお子様がいらっしゃいません。
相続人はAさん以外に、地方に住むXさんの弟Bさんとのこと。
そのため、近くにお住いの甥のCさん(Bさんの子)にご同席いただきました。
亡くなったXさんは健常者で、常にAさんを支えてこられました。
Aさんのご病気は後天性で、結婚前の20代から徐々に視野が狭くなり、
今では、明るさしかわからないということでした。

貸金庫を利用していた理由

貸金庫を開ける前の初回面談でお伺いしたところ、
Aさん達のご自宅は郊外にある公営住宅のため、相続財産は主に預貯金のみとのこと。
しかし、実際に貸金庫を開けてみないと詳細がわからないということでした。
実は、目の不自由な奥様を考慮したXさんは、
自宅には通帳をはじめとした貴重品を置かず、
ほとんどを金融機関の貸金庫に預けていらっしゃいました。
まずは、貸金庫を開けるところから始めなければなりません。

他の相続人の同席が難しい場合の対処法

故人が貸金庫を契約していた場合は、その相続人全員が同席して開扉するのが原則です。
とはいえ、相続人が遠方にいらっしゃるなど、お越しになれない場合は、
他の相続人への委任状で対応できる場合があります。
そのため、今回も、遠方にお住まいのBさんの委任状を、Cさん経由で準備していただくことで対応できました。

いざ、貸金庫を開けてみると複数の金融機関に定期預金等がありました。
しかも、金額はAさんが把握されていた額を大幅に上回るものでした。
その後は、Cさんにお力添えをいただき、Bさんとの間での遺産分割協議をまとめました。
目の不自由なAさんは署名ができないため、遺産分割協議書は名前まで印字し、
実印を押印するという形で作成しました。
また、各金融機関での解約手続きに当たっては、事前に事情を説明した上で、
Aさんご本人に同席いただくことで、支障なく手続きを完了できました。

~後日談~

貸金庫を無事に開け、手続きが完了した後。
雑談の中で、Aさんは医療の進歩を待ち望んでいるとおっしゃっていました。
それは、折しもIPS細胞のニュースが流れていた頃です。
もしも、医療の進歩に伴う高度な治療を望む場合、高額のお金が必要となるでしょう。
もしかすると、Aさんが知らなかったXさんの預貯金は、
Aさんの将来の治療のためのものであったのかもしれません。

  

  

  

◆参考◆

●貸金庫を開扉するタイミング

 故人が金融機関の貸金庫を利用していた場合、相続手続を行う際には、
 まず、貸金庫の開扉から進めることをおすすめします。
 なぜなら、貸金庫には遺言書や相続人が知らない財産、またはそのヒントが入っている場合があるからです。
 特に、後になって貸金庫を開扉して発見した遺言書の内容が相続人の想定外の内容であると、
 相続手続きを大幅に変更しなくてはならない、といった可能性があるのです。

●金融機関の対応について

しかし、貸金庫を開扉する手続きを最初に行うといっても、
 複数いる相続人の一人からの要求により簡単に貸金庫が開扉できるとすると、
 後日、内容物の持ち出しなどについて、他の相続人からクレームが生じる恐れもあります。
 そのため、各金融機関では、原則として相続人全員の立会いの下に開扉する、
 又は、相続人全員から同意を得て開扉するという規定を設けているのが一般的なようです。
 なお、相続人全員の同意を得ることができない等の事情がある場合には、
 公証人に対して開扉への立会いと内容物の確認を求め、
 その結果を公正証書として残しておくという方法も考えられます。

  

  

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