事例 112義父名義の土地を取得することはできるのか。

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Aさん

義父名義の土地を自分の名義にすることはできるでしょうか?

配偶者名義と思い込んでいた土地が、そうではなかったという例は少なくありません。

「義父名義の土地があるんです。主人の土地だと思っていたのに・・・」
3年前にご主人のXさんを亡くされたAさんのご相談です。
おふたりの間に子供はおらず、Xさんのご両親はご健在。
そのため、相続人は配偶者のAさん、義父、義母の3名でした。
Xさんの死後すぐに、預貯金の名義変更や生命保険金の請求は済ませていました。
ところが、Xさん所有の不動産の名義変更を失念していたそうです。

誰名義の土地かを要確認

というのも、現在Aさんが住む自宅は、土地建物はご主人の所有、
隣接する貸家の土地建物は義父Bさんの所有、と聞いていたからとのこと。
そこで、登記簿を確認することになりました。
すると、それらの土地は、一筆で義父Bさんの名義となっていたのです。
Aさんはこの事実に驚き「自宅の土地はどうなるのか」と心配そうでした。

義父名義の土地をどうすればいいのか

自宅の土地について、今後のことを考えたいAさん。
義父名義の土地なので、Bさんが亡くなれば、
その相続人は義母と義兄(Xさんの兄)となり、Aさんに土地の相続権はありません。
つまり、貸家の土地と一体となったままでは、
義母か義兄が相続した土地上に、Aさん所有の自宅がある状態になってしまいます。
それでは、今後、ご主人の親族に負担をかけずにするにはどうしたらいいのか?
親族も含めて、専門家と相談を重ね、3つの手続きをすることとなりました。

①Xさんの相続については、Aさん・義父B・義母の遺産分割協議により、
 Xさん所有の自宅建物はAさんが相続するよう相続登記を行う。
②義父名義の土地のうち、自宅部分と貸家部分が別々の土地になるよう、
 土地の分筆登記を行う。
③Bさんが「Aさん所有の自宅の土地はAさんへ遺贈する」、
 「貸家の土地と建物は長男(義兄)へ相続させる」という内容で、公正証書遺言を作成する。

それにより、Bさんが亡くなった際は公正証書遺言を用いて、
Aさんが自宅の土地を、義兄が貸家を、それぞれ取得することができるようになります。
こうして、一連の手続きが済み、Bさんからも感謝のお言葉をいただきました。
「今回の手続きで、自分自身の相続についても備えができ、心が軽くなりましたよ」

義父名義の土地を今後に備えて分けられるように最善を尽くした。

◆参考◆

亡くなった配偶者の親族との相続手続

●子供のいないご夫婦は遺言書を

まず、お子様がいないご夫婦は、公正証書で遺言書を遺されることをお勧めします。
なぜなら、ご主人が亡くなった場合、ご主人のご両親がお一人でもご存命なら、
配偶者とその方が相続人となり、遺言書がない場合、
相続人間での遺産分割協議が必要となります。
そのことから、義父や義母が高齢で遺産分割協議ができなかったり、
ご両親やその祖父母(直系尊属)が既に亡くなっていると、
さらに、ご主人の兄弟姉妹(先に死亡している場合は甥姪)との協議が必要となったりします。
こうして、ご苦労されるケースが多くみられるため、遺言作成での対策をおすすめします。

先々を考えて、配偶者やその子どもが疎遠な親族とのやり取りに困らないためには、遺言作成の対策が最適。

●先々を考えた取り組み

親が先に亡くなれば、親の土地を子が相続するため問題は生じにくいですが、
今回のように先に子が亡くなってしまうと、より複雑なことになってきます。
そうすると、Aさんのように、ご主人のご両親にとっては法定相続人とならず、
他の親族に対しても弱い立場となる方も少なくありません。
だとすると、できればXさんがご存命のうちに、Bさんから生前贈与を受けておく、
または、Xさんに相続させる旨の遺言書を書いてもらう、
すなわち、予備的遺言として、XさんがBさんよりも先に亡くなった場合は
Aさんに遺贈するという内容を盛り込む、等の取り組みがあれば良かったのかもしれません。

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