事例 95相続を契機に不動産の権利を交換

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Aさん

亡くなった母の相続手続をしたいのですが、不動産の権利状況が複雑で困っています。

相続発生の度に権利関係を見直し、変更登記をしないと、どんどんとお手続きが複雑で面倒になってしまいます。

Aさんから「母が亡くなったので相続手続をしたいのですが、不動産の権利状況が複雑でして…」とご連絡をいただきました。2人兄弟だったAさんの兄Bさんは、昨年に亡くなっています。
お父様は30年前に他界されているので、お母様の相続人はAさんと兄の子のCさん、Dさんの計3人となります。
生前、お母様は兄Bさんご家族と都内の戸建ての実家に同居。Bさんが亡き後も、奥様EさんとC、Dさんが一緒にお住まいでした。この建物は亡Bさんの名義ですが、敷地(土地甲)はお母様名義です。
なお、Bさんの相続手続はしていません。
一方、Aさんのご自宅は隣の県にあり、その敷地(土地乙)はAさんとBさんの共有名義となっていて、その土地乙の上の建物はAさん名義です。
つまり、お父様が亡くなった際に、都内の実家の敷地(土地甲)と建物はお母様が相続し、隣県にあった土地(土地乙)は子供二人(AさんBさん)で共有として相続。その後、Bさんが土地甲にご自分の名義で実家を建て直し、一方隣県の土地乙にはAさんが家を建てた…ということのようです。

Aさんの要望は、今回の相続を契機に、Bさんご家族の自宅敷地(土地甲)をBさんのご家族名義に、Aさんのご自宅の敷地(土地乙)をAさん名義にそれぞれ直し、建物と土地の名義が一致する形に整理したいというものでした。
そこで、①土地甲を相続によりAさんとBさん側家族の共有にし、②もともとAさんとBさん(ご家族)の共有となっている土地乙とでそれぞれの持ち分を交換する、という方法を提案しました。

まずはBさんの相続手続を行います。Bさんご家族(Cさん、Dさん、Eさん)の協議の結果、土地建物はすべてCさんが相続するという合意のもと、土地甲上のBさん名義の建物、土地乙のBさん名義の持ち分をそれぞれCさんに移転します。
結果、土地乙はAさんとCさんの共有となります。次にお母様の相続手続を行い、土地甲をAさんとCさんの共有とします。

Bさん、お母様の相続手続がそれぞれ完了したら、最後に土地甲のAさんの持ち分と土地乙のCさんの持ち分とを「交換」します。ぞれぞれの土地はすべて建物の名義人と同一とさせ、無事にお手続きが完了。
かなりの時間を要しましたが、相続を契機に複雑な権利関係をスッキリさせることができました。

◆参考◆

相続による共有不動産名義の注意点を確認してみましょう。

●共有不動産の整理
実家の親の名義の不動産を相続し、結果、子供たち兄弟姉妹名義で共有としている例はよく見受けらます。一見、兄弟姉妹で実家を共有することに何ら問題はなく見えます。しかし、このうちのどなたかが亡くなると、その権利はその配偶者や子供に移転し、さらに、次の相続も生じて…と、結果としてほとんど行き来の無いいとこ同士で共有状態ということにもなりかねません。
相続が発生するたびに所有者の数が増加し、いざ売却や融資を受ける必要が生じた際には、所有者を確定したり、連絡を取るのに多くの時間を要することになります。
場合によっては、誰かが所在不明であったり、外国に居住していたりと手続きがスムーズに行かない恐れも生じます。兄弟姉妹で共有となったままの土地は、一方が買い取る、揃って売却するなど、早期の整理が望まれます。

●不動産の譲渡における所得税
土地や建物を譲渡した場合には、譲渡所得税が課せられる場合がありますが、個人が土地や建物などの固定資産を同じ種類の固定資産と交換したときは、譲渡がなかったものとする特例(固定資産の交換の特例)があります。
特例の適用には条件がありますので、税務署や税理士への確認が必要です。

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