事例 94婚姻前の転籍

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Bさん

父が亡くなり、自分の母親が実は後妻だったと判明して・・・。
どうすればいいのか途方にくれましたが、おかげさまで無事に解決しました。

親の相続の際、戸籍を収集することで初めて、会ったことのない兄弟の存在を知ることは少なくありません。

80歳のご主人Xさんが亡くなったということで、初めは、奥様のAさんよりご相談をいただきました。
ご夫婦には長男Bさんと長女Cさんの二人のお子様がいらっしゃいます。Aさんご自身も高齢であるため、ご長男のBさん同席でお話を伺いました。
相続財産は都内の1戸建てのご自宅と預貯金です。預貯金自体はそれほど多くはないものの、ご自宅は基礎控除額を少し超えそうでした。まずは、事前調査の申込をいただき、相続人調査、相続財産調査を始めました。

相続人調査として、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍を確認し、相続人を確定していきます。
XさんとAさんが結婚して、Xさんの戸籍にAさんが入り、BさんやCさんが誕生してその戸籍に入っていくのですが、相続人確定に当たっては、その結婚前の戸籍も含めて順に辿っていきます。すると、Xさんは結婚の数か月前に転籍をされていました。そこで転籍前の戸籍を追いかけて確認すると、XさんはAさんと出会う前に別の方と結婚し離婚されており、その方との間に子供のDさんがいることが判明しました。その場合、もちろんDさんもXさんの子として相続人になります。
Aさんとのお話では、Xさんに離婚歴があることは全く話題に上らなかった為、調査結果の報告に際して嫌な予感がしましたが、案の定、Aさんは全くご存知なく、当然BさんCさんも知る由もありません。
しかし、相続権がある以上、Dさんを含めて、遺産をどう分けるか協議をしていただく必要があります。Xさんの遺言書さえあれば、その内容如何でDさんとの協議が不要となる可能性があります。しかし、自宅には遺言書は残されていませんでした。また、Dさんの協力を得て開扉した貸金庫にも遺言書はありませんでした。
ショックで寝込んでしまったAさんに代わって、BさんがDさんと遺産分割の交渉をすることとなりました。ご自宅はAさんがお住まいですから売却換価するわけにはいきませんので、ご自宅はAさんが相続し、Dさんには法定相続分である6分の1相当額の金銭をお渡しするということで合意がなされました。
結局、預貯金のほぼすべてをお渡しするということになりましたが、一方で、相続人が増えたことにより相続税の基礎控除額が上がり、相続税の申告は不要となりました。多少手続きが簡素化されたのがせめてもの救いでした。

◆参考◆

●移記されない戸籍の記載事項
法律の変更で戸籍が改製されたり、他の役所の管轄への転籍等で、新しい戸籍が編成される際、すべての身分事項が古い戸籍から新しい戸籍に移記されるわけではなく、「離婚」の記載は新しい戸籍に移記されません。
新しい戸籍にかつての「離婚」は記載されないのです。その為、今回のXさんの戸籍のように、Aさんとの婚姻前に転籍をしたことで新しい戸籍が編成され、Xさんが再婚である事実をAさんが気付けないというケースが生じるのです。

●直接話しづらい時は遺言書を
しかしながら「転籍」により「隠れていた」としても、相続の際には必ず表面化します。前妻(夫)の子も必ず相続権を持ちますから、遺産分割の協議が必要となります。存在さえ知らされていなかった相続人と初めて会い、協議をしなければならないストレスは計り知れません。また、ご遺族の今後の生活設計にも大きく関わる問題です。生前にそうした事実をご家族にお話しづらいのであれば、せめて遺言書で明らかにしておくことが望まれます。

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