事例 90相続手続に苦節10年

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Aさん

10年前に他界した父の相続手続に、ようやく手を付けられそうです。お力を貸してもらえませんか?

連絡を取れずにいる兄弟がいても、相続手続を進める手段をご一緒に考えます。

「ようやく父の相続手続ができると思います」と、Aさんからセンターに電話がありました。

Aさんのお父様は10年前に亡くなり、その際に相続手続きをセンターにご依頼いただいたのですが、
相続人間の協議がまとまらず手続きを進めることができませんでした。
お母様は既に他界されていたので、お父様の相続人はAさんと弟Bさん、妹Cさん、そして末っ子の弟Dさんです。

このうち、Cさんが協議に応じませんでした。Aさんは悩まれた末、Cさんが応じてくれるまで待とうということで、相続手続を中断し、センターとしてのお手伝いも一旦終了することとなりました。

それから8年を経て、長らく何ら連絡のなかったCさんから、Aさんに「父の相続財産がどうなっているのか?」と問い合わせがあり、Aさんは、今のうちに手続きを進めようとセンターに連絡したということでした。
改めてAさんとご面談すると、Aさんと弟のBさんとは連絡を取り合っているものの、一番下のDさんは定職につかず住所も転々として現在は音信不通とのことでした。

皆様の住所を調べたところ、Dさんの住所は職権消除されており、分からなくなっていました。
Aさんに心当たりがあるところをさがしていただきましたが、やはり所在は分かりません。
会わないこの8年の間に所在不明となってしまったようです。
今回も早くも暗礁に乗り上げてしまいました。
所在不明の相続人がいる場合、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立て、
その管理人が不在者(Dさん)の代わりに遺産分割協議に応じることで相続手続きを進めていくことはできます。
Aさんは今度こそ相続手続きを完了させようと、不在者財産管理人選任の申し立てを行いました。

しかし、改めてCさんも含めて遺産分割協議を進めようとしたところ、またもCさんは心を閉ざしてしまい、Aさんの問いかけに全く応じず、再び手続きは頓挫するかと思われましたが、
それでもAさんは、今度ばかりは手続きを進めようと、最後の手段に打って出ました。

家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることを決断されたのです。
弁護士を代理人にして調停に臨むこととし、その後の手続きについては弁護士に委ねました。
Cさんは期日に家庭裁判所に来ることはなく、審判が下されました。
ここまでで約1年半を要しました。
そして、Aさんから改めてご連絡をいただいてから2年…
お父様が亡くなってからは10年が経ち、ようやく相続手続のすべてが完了することとなりました。

Aさんからはセンターに感謝の言葉をいただきました。
ただ、手続きは完了したものの、Aさんにとって、心を閉ざしたままのCさん、
行方の分からないままのDさんと、本当の問題解決が完了はするのは、まだまだ先になりそうです。

◆参考◆

●遺産分割調停
遺言書がない場合、相続人間の話し合いで遺産分割協議をする必要がありますが、
話し合っても遺産分割協議がまとまらない、または話し合いを拒んで協議ができない場合は、
家庭裁判所の遺産分割調停を利用することができます。
この調停は、相続人の内の一人又は数人が他の相続人を相手方として申し立てます。
調停委員の立ち会いのもと、あくまでも当事者間の話し合いをもとに解決を図っていきます。

●不在者の財産管理人
相続人に所在不明な方がいる場合は、「不在者の財産管理人」の選任を申し立てることができます。
これも家庭裁判所に対して行います。家庭裁判所より財産管理人が選任された後は、
その管理人が他の相続人との間で遺産分割協議を行うこととなります。

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