事例 76心のこもったお手紙の成果

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Tさん

相続人が17人もいて、連絡を取れない人も多くいます。全員が遺産分割協議に協力してくれるのか、不安です。

まずは、全員へ連絡をとり、気持ちを伝えましょう

葬儀社の担当者から「相続で困っているTさんの相談にのってあげて」と連絡が入りました。

事情をお伺いすると、ご主人を亡くされたTさんは相続手続きができず困っているとのことでした。
特に銀行口座が凍結されて出金できず、生活も心配だと暗い表情で話されました。

Tさんと亡くなったご主人の間に子供はおらず、両親も亡くなっているため、相続人はTさんとご主人の兄弟になります。

しかし、ご主人の実家は遠く離れていたこともあり兄弟との交流がほとんどありませんでした。

また、兄弟がたくさんいると聞いてはいたものの、具体的な人数や住んでいる場所はわからない状況でした。
相続人を調べるために戸籍を取得していくと、ご主人は9人兄弟の末っ子で、相続人は兄弟と亡くなっている兄弟の子供を合わせた17名いることがわかりました。

相続人が17名もいたら遺産分割協議がまとまらないのではないか、協力してくれない人がいるのではないかと、Tさんはさらに不安になられました。

相続人が二人以上いる場合、相続財産はいったん共同相続人全員の共有となります。

この共有状態を解消する為に、「遺産分割協議」を行います。この遺産分割協議は、相続人全員で行わなくてはなりません。

遺産分割に際しては、財産の種類や性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況、
その他一切の事情を考慮して行うものとされていますが、相続人全員の合意があれば配分を自由に決めることは可能です。

法律で定めた相続分は協議に際しての一つの目安とはなりますが、必ずしもそのとおりに分けなければならないというわけではありません。

今回のTさんの場合のように、全員が合意すれば、一人の相続人に全財産を取得させることも可能となります。

一棟の建物など、分割して取得することが難しいものの場合は、共有で取得するという方法もありますが、
一人の相続人にその不動産を取得させ、その代わりに、その相続人が他の相続人に代償金を支払うというやり方も可能です。


そうして相続人全員による話し合いで相続財産の分割方法が決定したあと、その内容を書面として作成したものが「遺産分割協議書」です。
遺産分割は必ずしも書面で残すことが求められているわけではありませんが、分割協議の内容について、後日、相続人間で争いがおこることも少なくありません。

そのため、分割合意内容の証拠書類として作成しておくとよいでしょう。

ただし、不動産の相続登記をする場合の法務局への申請時や、相続税申告の際の税務署への提出時には必ず作成を要する時があります。

何はともあれ、お気持ちを伝えなければ先に進みません。
まず、Tさんから17名の相続人に手紙を出すことを提案しました。
内容は、ご主人の兄弟親族が近くにおらず、葬儀に誰も呼べなかったことに対する謝罪、
そして手続きに協力してほしいことを伝えるものです。
Tさんは相続人17名に対して、全て自筆で気持ちをこめて書いた手紙を送りました。

しばらくして、全員から協力しますと書かれた手紙が返ってきました。
その上、預貯金の法定相続分はいらないので、全部Tさんが取得してくださいという内容だったのです。
これにはTさんも、とても驚かれ、感謝の気持ちでいっぱいだと仰っていました。
ご主人に良い報告ができると、笑みもこぼれておられました。

その後、遺産分割協議書を作成し、手続きは無事に完了しました。
払い戻しが一切受けられなかった預金口座のお金が振り込まれ、一安心です。
さらに、遠方から兄弟や甥姪といった親族が、お線香をあげに来てくれましたと言う報告を受け、
心のこもった手紙を出して本当に良かったと実感しました。

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