過去事例

「相続で困っているTさんの相談にのってあげて」と葬儀社の方から連絡が入りました。

早速相談に行き、事情をお聞きしてみると、ご主人を亡くされたTさんは、相続手続きができず困っているとの事で、特に銀行口座が凍結され、出金出来ないので生活も心配だと、暗い表情で話されました。

 

Tさんと亡くなったご主人の間には子供がなく、両親も亡くなっているため、相続人はTさんとご主人のご兄弟でした。

しかし、ご主人は実家が遠く離れていることもあり、ご兄弟との交流がほとんど無いような状況だったため、Tさんは、ご主人のご兄弟がたくさんいることは知っていましたが、人数や住んでいる場所については、ほとんど知らない状況でした。

 

戸籍を見ると、ご主人は９人兄弟の末っ子で、既に亡くなっているご兄弟の子ども（代襲相続人）を含め、相続人はなんと17名もいることがわかりました。

Tさんは、相続人が多いという事は、遺産分割協議がまとまらないのではないか、協力してくれない人がいるのではないかと、とてもご不安に感じていらっしゃいました。

 

しかし、お気持ちを伝えなければ先に進みませんので、Tさんから17名の相続人に手紙を出してみてはどうかと提案しました。

ご主人の兄弟親族が近くにおらず、お葬儀に誰も呼べなかったことに対する謝罪、そして手続きに協力してほしいことを伝えるお手紙を、Tさんは17名すべての相続人へ自筆で気持ちを込めて書かれました。

 

その結果、全員から協力しますと書かれた手紙が返ってきました。

その上、預貯金の法定相続分はいらないので、全部Tさんが取得してくださいという内容だったのです。

これにはTさんも、すごく驚かれて、感謝の気持ちでいっぱいのご様子でした。

ご主人に良い報告ができると、笑みもこぼれていらっしゃいました。

 

その後、遺産分割協議書作成も滞りなく進み、手続きは無事に完了しました。

凍結されて払い戻しが出来なかった預金口座のお金が振り込まれ、一安心です。

さらに、遠方から兄弟や甥姪といった親族が、お線香をあげに来てくれましたという連絡を受け、Tさんの心のこもったお手紙が良かったのだと実感しました。